復興をすすめる上での重要な6つのポイントを解説します。

復興準備の経緯

この節では、復興準備/事前復興の位置付けと、これまで既に始められてきた取り組みの例を紹介します。

防災基本計画

防災基本計画
(出展:内閣府 HP

防災基本計画は、それ自体は復興準備/事前復興の取り組みに限ったものではありませんが、災害対策基本法第34 条第1 項の規定に基づいて中央防災会議が作成する、政府の防災対策に関する基本的な計画として復興準備/事前復興の法的な基礎として位置づけられるものです。

防災基本計画は、日本の災害対策の根幹をなすものであり、防災分野の最上位計画として、防災体制の確立・防災事業の促進・災害復興の迅速適切化・防災に関する科学技術及び研究の振興・防災業務計画及び地域防災計画などにおいて重点をおくべき事項についての基本的な方針を示しています。

この計画に基づき、指定行政機関及び指定公共機関は防災業務計画を、地方公共団体は地域防災計画を作成しています。その一分野として復興準備/事前計画に関する計画が位置づけられることとなります。

埼玉県・県土事前復興プログラム

埼玉県・県土事前復興プログラム

埼玉県では本研究と関連し、「埼玉県震災対策行動計画」アクション項目の一つとして「県土事前復興計画(通称:県土復興プラン)」を取り纏めいています。

市町村における円滑な市街地の復興を支援するため、地域・社会特性を考慮した復興像の検討、法手続きや合意形成といった復興プロセスを整理し、県土復興プランとして取りまとめています。

東京都復興グランドデザイン

東京都復興グランドデザイン
(出展:東京都 HP
東京都では、阪神大震災を受けて震災後の都市復興と生活復興に関するマニュアルを策定していましたが、震災復興を迅速かつ円滑に推進するためにはあらかじめ行政と都民が震災復興時の都市づくりのあり方を共有しておくことが必要であるという考えに基づき、平成13年に「震災復興グランドデザイン」を策定し、「被災を繰り返さない、環境と共生した国際都市東京の形成」を図るとしています。
この取組みは「事前復興」の概念を踏襲したものであるとともに、神戸型の復興プロセスを前提として、それを円滑に進めるための計画であると位置づけられます。

東京都復興準備に関する年表

1995年1月:阪神淡路大震災
1997年5月:「東京都都市復興マニュアル」策定
1998年10月:「東京都生活復興マニュアル」策定
2001年4月:東京都震災対策条例改正
2001年5月:東京都復興グランドデザイン策定
2003年3月:東京都震災復興マニュアル策定、復興プロセス編/復興施策
2003年,2004年~2006年度:「復興市民組織育成事業」、復興まちづくり模擬訓練

上記のように、復興準備/事前復興を進めていく基盤はすでに整っており、先進的な自治体ではその取り組みも始まりつつあります。これまでの防災対策に加えて事前に復興のあり方を準備するという取組みが、今後全国に広がっていくものと考えられ、その手法と位置付けを明確にしていくことが必要とされています。