復興をすすめる上での重要な6つのポイントを解説します。

復興準備の必要性

防災の重要性はすでに広く理解されており、とくに阪神大震災以降、大規模災害への防災・減災対策が国や地方自治体を問わず全国で進められてきました。では、なぜそれに加えて「復興準備」を行う必要があるのでしょうか?この節では復興準備/事前復興の位置付けをあらためて明確にしていきます。

減災・防災と復興準備

減災・防災と復興準備

「災害に備える」と言ったとき、まず考えるのは災害を免れるための「防災」、災害が起こったときに被害を最小に抑える「減災」といった対策でしょう。都市計画の分野でも減災・防災のための手法が様々に用意され、しかし実施はまだ十分ではなく、いまだに災害危険地域への対応が模索されている現状です。

一方で「復興準備」は災害が起こった後、しかもある程度混乱が落ちついた後のあり方を考えるためのものです。では、被害への対応よりも被害を防ぐことを優先すべきではないのか、復興準備よりも減災対策を優先して進めるべきではないのか、という疑問が考えられます。

しかし、実は「減災」と「復興準備」とは災害対策の中で独立したサイクルとして、両立させていく必要があります。

復興準備の位置付け

復興準備(事前復興)には減災対策のフェールセーフ(万が一の備え)としての位置付けがあります。防災をしっかりしていれば備蓄は要らないといえるでしょうか?安全運転なら保険は必要ないといえるでしょうか?「起こらないように努力する」ことと「もし起こった場合にどうするか考えておく」こととは切り離して考え、両方を万全にしておくべきものです。

復興準備の位置付け

では、いざと言うとき何が起こるのか?その後どうすれば20年後50年後に最適な復興が出来るのか?―復興を「準備」する、とは言ってもそうした未来を完全に予測することは出来ません。また復興準備は将来のあるべき姿を決めてしまうようなものではありません。

しかし、たとえ実際に直面する問題の全てではなくとも起こりうると予想出来る問題、既にいまそこにある条件から高確率で生じてくると分かる問題というものは存在します。その予想出来る部分への対応を考えて準備しておけば被災後の混乱を少しでも和らげることができるでしょう。たとえば医療保険が全ての医療費を賄うのではないにしても用意しておく価値があるように、復興もまた事前に用意しておくことで将来の負担を減らすことが出来る ―これが復興準備の社会的な位置付けです。

従来の防災・減災だけではなく、被災後のために、被災後の復興過程で起こりうる問題を事前に描き出しその対応策の案とともに蓄積しておくこと。これが復興準備/事前復興の基本的な考え方です。