第2回ワークショップ 「地域の防災体制を確認し,自助,共助の考えるべきことを明確にする」

2nd Workshop(January 2007)
2007年1月26日 場所:大成化工
1.「自助,共助,公助」の理念と「自助,共助」の重要性
 第1回ワークショップの中でも登場した「自助,共助,公助」.ここでは,その意味について理解を深めました.個人,まち,行政のすべての主体が防災に取り組むべきだというのが基本的な意味です.
 しかし,それだけではありません.「自助,共助,公助」のすべての主体が,地域で起こり得る災害状況像を理解し,その上で,それぞれの責任分担,役割分担を相互に理解し,それぞれのできることを進めていくということを意味しています.防災における公助の役割は,とても大きいのですが,それだけでは,まちの安全は確保されません.自助,共助の頑張りがあってはじめて,まちの安全が確保できるということを改めて確認しました.
「自助」「共助」「公助」のあるべき姿
2.「公助」の防災体制を知る
 第二回のテーマ「自助,共助で行うべきこと」を考える前に,「公助」の防災体制とその限界についてよく知る必要があります.ここでは,国土交通省荒川下流河川事務所の担当者と葛飾区水防の担当者にそれぞれ「公助」としての取り組み状況について説明を受けました.
 国土交通省荒川下流河川事務所の担当者の方からは,「河川行政を取り巻く環境の変化と荒川の治水設備の概要」というタイトルでご講演いただき,荒川の治水を軸に様々な内容を勉強しました.荒川の治水の長い歴史をみると,地域の発展は治水とともにあること,今の地域の繁栄は先人の努力の積み重ねのおかげであることを改めて感じました. その一方で,最近の地球環境問題の影響による集中豪雨が頻発し,これに対応することが最近の新しい課題になっていることを知りました.地球環境の変化を考えると,水害が発生する可能性が高まっています.さらに市街地の変化をみると,地盤沈下や地下空間の増加等,水害に対して脆弱になっていることを勉強しました.こうした状況に対応する新しい対策が行われています.200年に1回の大雨にも対応できるスーパー堤防(緩傾斜の幅の広い堤防)の整備,「ハザードマップ」の普及促進,さらに浸水時の水位や避難場所を示した標示を街なかに立てる「まるごとまちごとハザードマップ」という対策等が流域ですすめられていますことを知りました。また,新小岩地区で,万が一水害になった場合,水が引くまでに100時間~200時間程度かかるとの想定があることを知りました。
 葛飾区水防の担当者の方からは「区の防災体制」について説明を受けました.葛飾区の災害情報の伝達手段としては,ラジオ(かつしかFM),防災無線,広報車,葛飾区のホームページと多様な手段が準備されていること,また,平成19年度の公開に向けて「洪水ハザードマップ」づくりが進んでいること,水位標示版の設置を予定していることを知りました.
 古くから治水対策行われていますが,地球環境の変化を考えると,水害が発生する可能性は十分にあります.水害に備えて,治水だけではなく,市街地側で備えることが重要です.「公助」として様々な対策が行われていますが,水害から生命,財産を守るためには「自助,共助」が重要ではないでしょうか.
水害に関する現状
水害に関する現状ワークショップ写真
公助による対策
公助による対策ワークショップ写真
3.重要なキーワード:「経験」と「情報」
防災を考えるとき,「経験」「情報」は重要です.しかし,頼りすぎては危険なことも・・・
  • 神田佐久間町では,関東大震災で消火活動に成功しましたが,戦災でも同じように消火活動を行おうとして多くの住民の命が失われました.
  • 最近,津波の避難警報が発令されても,テレビやインターネットでより詳細な情報を得ようとして,避難する時間が遅くなっています.
4.自助,共助の考えるべきことを明確にする
 「公助」の防災体制を理解したところで,次に各テーブルに分かれて「自助,共助として考えることを明確にする」ことを目的に議論を行いました.
 被災時に特に重要な次の三点,①情報入手手段,②避難場所,③避難手段,に焦点をあてて考えました。その後で,「自助,共助」で何ができるかということについて議論しました.テーブル議論では,「避難する時に近所の人に声をかけて危険を伝える」,「要援護者を救助する」,「要援護者の所在を確認する」,「水害の危険を広報する」,「近所のマンションと避難協定を結ぶ」等,たくさんの具体的なアイデアがだされました.
議論のまとめ
議論のまとめ
ワークショップ写真
ワークショップ写真